マーケティングの基本 答えは顧客の中にあり。経験が顧客ニーズから離れていく話
こんにちは。シレオクリエイト立川です。
普段はwebマーケティングや、webサイト制作に関するノウハウを中心に発信していますが、今回は先日行ったサウナ専門施設での体験談から、マーケティングの重要性について私が感じたことについて発信をしていこうと思います。
趣味のサウナの話
私はサウナが大好きで、サウナ歴は約10年なります。
あのととのう瞬間が最高なのと、脳がリフレッシュされる感覚にハマってます。
サウナに行ったあとは仕事のスピードも劇的にアップします。
もはやサウナは国民の義務にしてもいいのでないかと思うくらい、現代のストレス脳疲労社会には必要不可欠なものだと個人的には考えています。
そんなサウナ大好きおじさんの私ですが、先日、新規オープンしたサウナ専門店に意気揚々と行ってみました。
上がる期待値
そこは長年温泉施設として営業しているお店で、近年のサウナブームもあってか、施設を増設し、新たにサウナ専門のスペースを設けていました。
元々あった温泉にもサウナはあり、ぼくも過去に何度か利用させていただいたことがあります。
温泉もサウナもけっこう良質で、(しかも人が少ない)そんなお店がサウナ専門のサービスを新たに開始したとのこで、期待値は必然的に高くなっていました。
新設のサウナ施設は、料金が温泉の倍以上になっており、価格が上がると、それに比例して期待値も上がってしまうのは人間の心理。
更に期待値が爆上がりし、「良質なサウナで早くととのいたい」と、ウキウキでお店へ。
感じる違和感
さっそく受付を済ませ、案内を受けると、まずは施設の入り口に番号式のロックがかかっており、なんだか重厚な雰囲気。
「え?サウナにこのセキュリティいる??」
と、このときすでに少し違和感を感じましたが、これも大事な演出なのだろうと、自分を納得させて暗証番号を入力し入場。
新設の設備のため、中はとてもキレイでした。さっそく脱衣所に行ってみると、結構狭い・・・
そしてここで気づいた点が、脱衣所に冷水機がない点です。
なぜ気になったかと言うと、その元々の温泉施設では、脱衣所に冷水機がきちんと設置されているからです(脱衣所も3倍くらい広い)
サウナに入る際はこまめな水分補給は必須項目であり、サウナーにとっての基本中の基本。
ここでさらに違和感が増大しましたが、「まぁ脱衣所以外の別な場所で水分が補給できるようになっているのだろう」と自分を納得させ、さっそくサウナへ
いざサウナへ
さっそく待ちに待ったサウナへ。前述の通り、上がりに上がった期待値で胸を膨らませていました。
サウナ室を覗いてみると、平日の昼過ぎの時間かつ、まだ新設であまり認知されていない施設ということもあり、ぼくの他にはお客さんは誰もいませんでした。
そして広くてキレイなサウナ。
しかしそこで目を疑う光景を発見。
そう、
「テレビ」
です。
サウナーは「ととのう」に全てを捧げるためにサウナに訪れています。
「ととのう」ために全てを投げ打ち、「今ここ」に全てを捧げ、全身全霊で挑んでいます。
そんな中で望んでいない雑音を強制的に発するテレビは、邪魔者以外の何物でもありません。ぼくはサウナにあるテレビの存在価値を一切認めていません。
サウナ専門施設にあるまじきテレビの存在に、一瞬取り乱しかけましたが、近くにリモコンがあることを発見し、テレビのスイッチはOFFに。
そしてついに意気揚々とサウナに突撃したところ、さらに衝撃の展開が。
「あ、熱くない。だと・・・?」
本当に熱くなかったのです。サウナにある温度計は90度近くを指していましたが、体感的には70度あるかどうかといったくらいでした。
比較的温度が低く設定されている、低温サウナというものにも何度も入ったことがありますが、ここはその低温サウナ以下の熱さ。
もうここで絶句しかけましたが、まだ希望の光は残っていました。
そう、
「ロウリュウ」
です。
そして希望は消される
ロウリュウをご存知でない方のために簡単にご説明すると、
ロウリュウとは、
ロウリュウとは、フィンランド式サウナの入浴方法で、サウナストーンに柄杓などで水をかけ、湯気や蒸気を立ち昇らせることを指します。
蒸気を発生させることによって、通常のサウナより湿度が大幅に上がり、発汗作用をより促すことができます。
実はこのお店のホームページにて、このサウナではロウリュウがあることを事前にキャッチしていました。
20分ほどサウナに入っていると、(温度が低いので20分くらい余裕で入れました)
サウナストーンのところに設置されている、自動ロウリュウの設備と思われる蛇口から、10滴くらいの水滴がポタポタと落ちていきました。
それらの雫はサウナストーンへ落ちていき、一瞬「シュヮッ」とかすかな音を立ててはかなく消えていきます。
もちろんサウナの温度はほぼ変わりません。
もうこの時点でブチギレ寸前でしたが、とにかくととのいたいぼくは、長時間サウナに入って無理やり汗をかき、水風呂へ直行しました。
畳み掛ける絶望
サウナにあまり馴染みのない方には、水風呂が苦手、という方も多くいらっしゃるかもしれません。
しかしサウナの真髄は水風呂にこそあり、良質な「ととのう」が体験できるかどうかは、水風呂で決まると言っても過言ではありません。
サウナで絶望したぼくは、最後の望みを水風呂に託しました。
そしてここでダメ押しの悲劇が。
「ぬ、ぬるい・・・」
そう、水風呂がぬるかったのです。サウナーならほぼ全ての方に共感していただけると思いますが、サウナにおいて水風呂がぬるいというのはもはや犯罪です。
ここまでくるともう呆然としながら水風呂をでて外気浴に行くと、そこには素晴らしい眺め(この施設は丘の上にあるため、街の景色が一望できます)と、大きな露天風呂が。
いや力の入れどころ間違ってるから!!!
(これはこれでいいけれども)
と一人で施設に対して全力で突っ込み、景色を眺めながら、広い露天風呂で一人、
「もう利用することはないだろう」と密かな決意を固めるのでした。
普段ぼくはサウナは、サウナ → 水風呂 → 外気浴 のととのいサイクルを3セット行っていますが、あまりの絶望に1セットで帰りました。
なお、前述した冷水機の件ですが、結局どこにもなく、外に自販機があるだけでした。
「いや自販機て!サウナ入るのに小銭持ってくる奴がどこにおんねん!!」
と帰り際にさらなるツッコミを入れて帰宅しました。
結論:答えは顧客にあり
エピソードが長くなってしまいましたが、要するにここで言いたかったことは、
「答えは顧客の中にある」
ということです。
今回長年経営を続けてきた温泉施設がサウナを新設したということで、ここだけ聞くと過去のノウハウが十分に生かせそうな気がします。
(実際ぼくもそれを期待していました)
しかし、温泉施設とサウナ専門店では、そもそもターゲット層が全く異なります。
その温泉は、長年地域密着型で営業をしてきたこともあり、客層は高齢者の方が多いです。
しかしサウナを本格的に楽しみたい、という方は働き盛りの20代〜40代くらいの方が中心です。
客層や目的が違えば、サウナ専門店と温泉施設では求められるものが異なってきます。
今回のケースでの失敗点としては今までの客層向けに新たなサービスを展開したことです。
そもそも地元の高齢者の方々は、サウナのクオリティーをそこまで高く求めていない方が多く、温泉の倍の料金を払ってまでサウナに入りたいとは基本考えていません。
逆に今回のターゲットとなるサウナーからすると、この施設では、価格の割にニーズが全く満たされないため、別なサウナに行こうと考えてしまいます。
しかしこれは、本来のターゲット層となる顧客に、事前にニーズをヒアリングすればすぐにわかることです。
このお店でこれができなかったのは、長年の経験が邪魔をしたのではないか、とぼくは考えています。
要するに、これまでの成功パターンや、今までの顧客のニーズを新規事業にも当てはめてしまった、ということです。
「無知の知」という古代ギリシャの哲人ソクラテスの有名な言葉がありますが、自分は知らないことから出発することが大切だと改めて感じたエピソードであり、ぼくも一経営者として、「答えは顧客にあり」と肝に銘じておこうと決めたエピソードでもありました。
それではまた!