新規事業のフェーズ別Webマーケティング戦略|0→1・1→10・10→100でやることを解説

公開日: 2026年10月15日
新規事業を立ち上げると、
「まずWebサイトを作った方がいいのか」
「広告を出すべきか」
「SEOを始めた方がいいのか」
など、さまざまな選択肢が出てきます。
しかし、新規事業のWebマーケティングで重要なのは、単純に「どの施策が効果的か」を考えることではありません。
重要なのは、今の事業がどのフェーズにあり、その段階で何を優先すべきかを考えることです。
まだ最初の顧客すら獲得できていない事業と、すでに安定して問い合わせが入っている事業では、やるべきことは大きく変わります。
この記事では、新規事業を、
- 0→1
- 1→10
- 10→100
の3つのフェーズに分け、それぞれでWebマーケティングに何を求めるべきなのかを解説します。
先に大きく整理すると、
0→1:本当に売れるのかを確かめる
1→10:勝てる領域を見つけ、顧客獲得を再現する
10→100:勝ち筋を広げ、仕組み化する
という違いがあります。
同じWebマーケティングでも、フェーズによって目的が違えば、当然やるべき施策も変わります。
新規事業の「フェーズ」とは
新規事業では、成長段階を「0→1」「1→10」「10→100」と表現することがあります。
ただし、0・1・10・100は、必ずしも売上額や顧客数をそのまま表しているわけではありません。
まず、0→1・1→10・10→100の違いを整理すると、次のようになります。
| フェーズ | 目的 | Webマーケティングの役割 | 次のフェーズへ進む目安 |
|---|---|---|---|
| 0→1 | 本当に売れるのかを確かめる | 小さく市場へ出し、誰が・何に反応するのかを確認する | 「誰に・どんな課題で・なぜ買われるのか」が見え始めている |
| 1→10 | 顧客獲得を再現できるようにする | 勝てる訴求・顧客・チャネルを絞り、顧客獲得の型を作る | 同じような顧客を、一定の方法で繰り返し獲得できる |
| 10→100 | 勝ち筋を拡大・仕組み化する | 既存施策への投資拡大、チャネル追加、運用体制の整備を進める | 投資量を増やしても、一定の採算性や成果を維持できる |
0→1・1→10・10→100には、明確な売上額や顧客数の境界があるわけではありません。
大切なのは数字そのものではなく、「その事業で何が分かっていて、何がまだ分かっていないのか」で現在地を判断することです。
0→1:誰に何が売れるのかを検証している段階
まだ、
- 誰が顧客になるのか
- どんな課題に反応するのか
- どんな理由で買ってもらえるのか
- どんな販売方法が有効なのか
が十分に分かっていない状態です。
最初の商品・サービスを作り、市場へ出しながら「本当に売れるのか」を確かめます。
1→10:売れる条件を再現できる形にする段階
すでに顧客はいるものの、
「誰にでも同じように売れる」
という状態ではありません。
どんな顧客なら買ってくれるのか、どんな訴求なら反応するのか、どの集客方法が機能するのかを整理し、偶然の受注を再現可能な顧客獲得へ変えていく段階です。
10→100:再現できる方法を広げる段階
ある程度、
「この顧客に、この方法でアプローチすれば売れる」
という型ができています。
ここからは、広告予算を増やしたり、SEOや別の集客チャネルを追加したりしながら、既にある勝ち筋を拡大していきます。
つまり、フェーズによってWebマーケティングの目的は、
検証 → 再現 → 拡大
と変わっていきます。

フェーズを間違えるとWebマーケティングへの投資もズレる
新規事業でよくあるのが、今のフェーズよりも先の施策を始めてしまうことです。
例えば、まだ誰に売れるのか分からない0→1の段階で、
- 数百万円をかけてWebサイトを制作する
- 大量のSEO記事を作る
- 大きな広告予算を使う
といったことを始める。
もちろん、それでうまくいく可能性もあります。
しかし、そもそも商品・サービスに十分なニーズがなければ、大きな投資がそのまま損失になる可能性もあります。
逆に、顧客獲得の方法がある程度確立しているのに、いつまでも少額のテストだけを続けていては、成長機会を逃してしまいます。
大切なのは、
「できる施策」を増やすことではなく、「今のフェーズで何をすべきか」を判断することです。
新規事業を次のフェーズへ進めることは、決して簡単ではありません。
PwCコンサルティング合同会社が国内企業1,030社を対象に実施した「新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025」では、中小企業の38%が0→1のフェーズにとどまり、10→100まで到達している企業は17%でした。
また、大手・中堅企業では1→10、中小企業では0→1で特に困難を抱える傾向があるとされています。
出典:PwCコンサルティング合同会社「新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025」
この結果からも、新規事業では一気に拡大を目指すのではなく、まず今のフェーズで解決すべき課題を一つずつクリアしていくことが重要だと考えられます。
0→1|まず「本当に売れるのか」を確かめる
0→1では、いきなり売上を最大化する必要はありません。
このフェーズで最も重要なのは、できるだけ早く顧客から学ぶことだと考えています。
0→1では「データを集める」より「顧客から学ぶ」
新規事業を始めると、アクセス数や広告のクリック数などのデータが気になるかもしれません。
もちろん、こうした数字も重要です。
ただし、0→1では母数自体が少ないため、定量データだけでは十分な判断ができないこともあります。
それ以上に、
- なぜ問い合わせたのか
- なぜ問い合わせなかったのか
- 何に困っているのか
- どんな状態になりたいのか
- 何ならお金を払ってでも解決したいのか
といった顧客の反応を知ることが重要です。
最初の段階では、売上を大きくすることよりも、
「誰に、どんな価値があれば買ってもらえるのか」について学習すること
を優先した方が、その後のマーケティングにつながります。
関連記事として、新規事業で「売れる条件」をどう見つけるかについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
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0→1では小さく市場に出す
最初から完璧なWebサイトを作る必要はありません。
例えば、
- 簡易的なLPを作る
- 最低限のWebサイトを作る
- 少額の広告を出す
- 見込み顧客へ営業する
- テスト販売する
- 顧客へヒアリングする
といった方法でも十分に検証できます。

今はAIを使えば、LPや広告クリエイティブなども以前より短時間・低コストで作れるようになりました。
だからこそ、最初から大きく投資するのではなく、
「この顧客なら、この商品・サービスに反応するのではないか」という仮説を立て、小さく試す
ことがやりやすくなっています。
0→1では「全部やる」必要はない
SEO、広告、SNS、営業など、複数の施策を同時に始めたくなることもあります。
しかし、特に予算や人員が限られる中小企業では、あまりおすすめしません。
複数の施策を同時に走らせると、
- 予算が分散する
- 人員が分散する
- どの施策が成果につながったのか分からない
- 改善する対象が増える
といった問題が起こりやすくなります。
AIを活用すれば、以前より複数の施策を並行して進めやすくなっています。
ただし、実施できることと、実施すべきことは別です。
まずは一つ、あるいは少数の方法に絞り、
「何を検証するために、この施策をやるのか」
を明確にした方が、結果から学びやすくなります。
最初の1件が取れても「勝ち筋」とは限らない
0→1では、最初の顧客を獲得することは大きな前進です。
ただし、
「1件売れた=事業として勝ち筋が見つかった」
とは限りません。
例えば、知人経由で最初の1社を受注できたとします。
その顧客が、
「知り合いだったから」
「特別価格だったから」
「たまたまタイミングが合ったから」
購入してくれたのであれば、同じ方法で2社目、3社目を獲得できるとは限りません。
0→1は、営業力や人脈などを使って、ある意味「力技」で突破できてしまうことがあります。
だからこそ重要なのは、
なぜその最初の顧客が買ってくれたのかを徹底的に理解することです。
そして、似たような顧客にも同じ理由で選ばれるのかを確認します。
ここから1→10が始まります。
1→10|「勝てる領域」を見つけ、顧客獲得を再現する
1→10は、今回の記事の中でも特にWebマーケティングが重要になるフェーズです。
0→1では「売れるかどうか」を検証していました。
1→10では、
「たまたま売れた」状態から「狙って売れる」状態へ変える
ことを目指します。
1→10では「集客量」より「再現性」を見る
顧客が取れ始めると、
「もっと広告費を増やそう」
「SEOも始めよう」
と、すぐに集客量を増やしたくなるかもしれません。
しかし、その前に確認したいことがあります。
例えば、
- どんな顧客が買っているのか
- どんな課題を持っているのか
- なぜ自社を選んだのか
- どんな訴求に反応したのか
- どの集客チャネルから来ているのか
です。
ここが分からないまま集客量だけを増やすと、売れない顧客まで大量に集めてしまうことがあります。
1→10では、
「誰に、何を、どう伝えれば売れるのか」
を明確にすることが重要です。
1→10では「勝てる領域」を見つける
私が1→10で特に重要だと考えているのが、自社が勝てる領域を見つけることです。
市場が大きいからといって、その市場で自社が勝てるとは限りません。
競合が非常に強い市場で、同じようなサービスを同じような訴求で販売すれば、広告予算や価格の競争になりやすくなります。
そこで重要になるのが、
自社の強み × 顧客の強い課題 × 競合との違い
が重なる領域を見つけることです。

例えば、「採用支援」という大きな市場では、多くの企業が競合になります。
一方で、
「地方製造業の若手技術職採用に特化した採用支援」
まで絞れば、
- 対象となる顧客
- 顧客の課題
- 自社の専門性
- 発信すべき情報
が明確になります。
もちろん、実際には市場規模や収益性まで確認する必要があります。
ただ、特に中小企業の新規事業では、
最初から広い市場で勝とうとするより、「ここなら自社が選ばれる」という領域を見つける方が現実的
なケースは多いと考えています。
1→10ではWebマーケティングで「顧客獲得の型」を作る
勝てる顧客像や訴求が見えてきたら、Webマーケティングを使って再現性を高めていきます。
例えば、
- 問い合わせにつながるLPへ改善する
- 反応の良い広告訴求を見つける
- 顧客の課題に合ったコンテンツを作る
- 問い合わせまでの導線を改善する
- CVデータを蓄積する
- 顧客獲得単価を把握する
といった施策です。
ここでの目的は、施策の数を増やすことではありません。
「この方法なら、一定の確率で顧客を獲得できる」という型を作ることです。
\ Web集客の実行・改善を進めたい企業様へ /
Web集客を、施策の実行から改善まで進めたい方へ
SEO・Web広告・サイト改善など、必要な施策を実行し、
数字を確認しながら継続的に改善します。
1→10ではチャネルを広げすぎない
一つのチャネルで成果が出始めると、別の施策にも広げたくなります。
しかし、
- 広告
- SEO
- SNS
- YouTube
- 展示会
などを一気に始めれば、再びリソースが分散します。
例えば検索広告から問い合わせが取れているのであれば、
- どのキーワードから問い合わせが来るのか
- どんな広告文が反応されるのか
- どのLPが成約につながるのか
をさらに深掘りした方が、早く成果を伸ばせることもあります。
勝ち筋がまだ細いうちは、横に広げるより縦に深掘る。
1→10では、この考え方が重要です。
10→100|勝ち筋を広げ、仕組みに変える
1→10で顧客獲得の方法がある程度再現できるようになったら、次は10→100です。
ここでは、新しい勝ち筋を一から探すというより、
すでに分かっている勝ち筋をどこまで拡大できるか
を考えます。
まずは既存の勝ち筋をどこまで伸ばせるか試す
例えば、現在Web広告から月10件の問い合わせが取れているとします。
この場合、いきなりSNSや新しい広告媒体を始める前に、
「広告予算を増やしても同じような顧客獲得単価で問い合わせを増やせるのか」
を確認します。
仮に予算を2倍にして、問い合わせもある程度増えるのであれば、そこにはまだ伸びしろがあります。
新しい施策を始めるよりも、すでに成果が出ている方法へ投資した方が効率的なケースも多くあります。
既存チャネルに限界が見えたら横へ広げる
既存のチャネルを十分に伸ばしたら、次は新しい集客経路を増やしていきます。
例えば、
- Web広告からSEOへ広げる
- 検索広告からSNS広告へ広げる
- Web広告だけでなくコンテンツマーケティングを始める
- 一つの業界から周辺業界へ展開する
といった方法です。
順番としては、
既存の勝ち筋を深掘りする
↓
伸びしろや限界を確認する
↓
新しいチャネルへ横展開する
と考える方が、無駄な分散を防ぎやすくなります。

10→100では「人が頑張る」から「仕組みで回す」へ
事業が小さいうちは、経営者や特定の担当者が頑張ることで何とか回せます。
しかし、規模が大きくなると、それだけでは限界が来ます。
そこで、
- 問い合わせ管理
- CRM
- レポート・分析
- 営業との情報共有
- 運用マニュアル
- KPI管理
- マーケティング業務の標準化
なども必要になります。
つまり10→100では、
特定の人が頑張れば売れる状態から、誰が担当しても一定の成果を出せる状態へ変えていく
ことも重要です。
各フェーズで「まだやらなくていいこと」を考える
新規事業では、「何をやるか」と同じくらい、何をまだやらないかも重要です。
例えば、次のように整理できます。
| フェーズ | 優先すること | まだ急がなくていいこと |
|---|---|---|
| 0→1 | 顧客理解、小さな検証 | 高額なサイト制作、大規模広告、大量のSEOコンテンツ |
| 1→10 | 勝てる領域の特定、顧客獲得の再現 | 多数のチャネルへの展開 |
| 10→100 | 既存施策の拡大、仕組み化 | 勝ち筋を捨てて新しい施策ばかり試すこと |
マーケティング施策は、やろうと思えばいくらでも増やせます。
だからこそ、
「今できること」と「今やるべきこと」を分けて考える
必要があります。
新規事業では「続ける・変える・やめる」の基準も決める
新規事業のマーケティングで難しいのが、撤退や方向転換の判断です。
広告を出して反応がなかったとしても、
「広告を改善すればうまくいくかもしれない」
と考えることはできます。
さらにLPを変える、訴求を変える、ターゲットを変える。
改善できる箇所はいくらでもあります。
だからこそ、どこまで続けるべきかの判断は簡単ではありません。
改善を続けることと、同じ仮説に固執することは違う
反応が悪かったときに改善することは重要です。
ただし、
- 広告が悪いのか
- LPが悪いのか
- 訴求が悪いのか
- ターゲットが違うのか
- 商品・サービスそのものを見直すべきなのか
を切り分ける必要があります。
同じ仮説のまま広告文だけを変え続けても、そもそもの商品・顧客仮説が違っていれば成果は出ません。
改善を続けることと、成果の出ない仮説へ投資し続けることは別です。
検証する前に一定の基準を持っておく
完全な撤退基準を最初から決めるのは難しいと思います。
それでも、
- どのくらいの期間試すのか
- 広告費をいくらまで使うのか
- 何人にヒアリングするのか
- どんな反応があれば継続するのか
くらいは決めておくと判断しやすくなります。
例えば、
「広告を○万円使っても問い合わせがない場合は、広告文だけではなく、ターゲットや商品まで一度見直す」
といった形です。
目的は「何件取れなければ即撤退」と機械的に決めることではありません。
次にどの仮説まで戻って考えるのか、その判断材料を持っておくことが重要です。
自社がどのフェーズにいるのか簡単に確認する
最後に、自社がどのフェーズに近いのか簡単に整理します。
0→1に近い状態
- まだ有料顧客がほとんどいない
- 誰が買うのか明確ではない
- どんな訴求が刺さるか分からない
- 商品・サービス自体も改善中
- 集客方法をテストしている
この状態なら、まず大きく投資するよりも、顧客から学ぶことを優先します。
1→10に近い状態
- 複数の顧客がいる
- 売れる顧客像に共通点が見えてきた
- 一部の集客施策から問い合わせが取れている
- ただし安定して再現できる状態ではない
- どの施策へ集中すべきか整理したい
この状態では、勝てる領域と顧客獲得の型を作ることが優先です。
10→100に近い状態
- 顧客獲得方法がある程度安定している
- 問い合わせ数や顧客獲得単価を把握できている
- 予算を増やせば一定程度成果が伸びる
- 新しいチャネルへの展開を検討している
- マーケティングの運用体制が課題になっている
この段階では、既存の勝ち筋をさらに伸ばしながら、横展開と仕組み化を進めます。
まとめ|新規事業はフェーズに合ったWebマーケティングを選ぶ
新規事業では、どのWeb施策が正しいかだけを考えても答えは出ません。
事業のフェーズによって、マーケティングに求められる役割が違うからです。
改めて整理すると、
0→1:本当に売れるのかを確かめる
1→10:勝てる領域を見つけ、顧客獲得を再現する
10→100:勝ち筋を広げ、仕組み化する
という違いがあります。
新規事業で重要なのは、
「何ができるか」ではなく、「今の自社に何が必要か」を考えることです。
フェーズに合った施策へリソースを集中することで、限られた予算や人員でも、より効率的に事業を成長させやすくなります。
\ Web集客の優先順位を整理したい企業様へ /
Web集客、次に何を改善するか整理しませんか?
Webサイト・SEO・広告・アクセス解析を横断して確認し、
成果を妨げている課題と改善の優先順位を整理します。






