アクセス解析レポートで見るべきは数字ではない|実際のWeb支援から考える「次に何をするか」

公開日: 2026年8月26日
以前、あるBtoB企業のWebサイトについて、アクセス解析とWeb集客の改善をご相談いただいたことがあります。
その際、代表の方からこんな話を聞きました。
これまでにも何人かにアクセス解析を依頼したことがあり、GA4やGoogle Search Consoleのデータをもとに「この数字は良い」「ここは悪い」といった説明を受けたそうです。
ただ、話を聞いたあとに残ったのは、
「それで、次に何をすればいいのだろう?」
という疑問だったとのことでした。
この話は、私自身がアクセス解析をするときに大切にしていることと重なります。
もちろん、アクセス数や検索順位、クリック率、コンバージョン数などの数字を見ることは必要です。
しかし、Webサイトを運営している企業が本当に知りたいのは、数字そのものではないはずです。
なぜWebから思うような成果が出ていないのか。どこに問題があり、次に何をすればいいのか。
そこまで考えて初めて、アクセス解析をする意味があると私は考えています。
この記事では、実際に行ったWeb支援をもとに、私がアクセス解析レポートを作る際に何を見て、どのように改善施策へつなげているのかを紹介します。
アクセス解析レポートの目的は「数字を報告すること」ではない
アクセス解析レポートでは、さまざまな数字を確認します。
GA4であれば、
- ユーザー数
- セッション数
- 流入チャネル
- ランディングページ
- コンバージョン
- ページ間の遷移
などがあります。
Google Search Consoleであれば、
- 検索結果での表示回数
- クリック数
- CTR
- 平均掲載順位
- 検索クエリ
などを見ることができます。
これらはWebサイトの状態を把握するために必要なデータです。
ただ、例えばアクセス解析レポートに、
「自然検索からのアクセスが前月より20%増加しました」
と書かれていたとしても、それだけでは次の行動は決まりません。
20%増えたのであれば、今のSEO施策をさらに強化すべきなのか。
それとも、すでに十分なアクセスが集まっているので、そのアクセスを問い合わせにつなげる施策を優先すべきなのか。
同じ数字でも、Webサイトの目的や現在の状況によって判断は変わります。
そのため私は、アクセス解析レポートを単なる「Webサイトの成績表」ではなく、次の意思決定をするための資料だと考えています。
数字を整理して終わるのではなく、
「このデータから何が起きていると考えられるのか」
さらに、
「では、次に何をするのか」
まで考える。
ここまでがアクセス解析の仕事だと思っています。

\ Web集客の優先順位を整理したい企業様へ /
Web集客、次に何を改善するか整理しませんか?
Webサイト・SEO・広告・アクセス解析を横断して確認し、
成果を妨げている課題と改善の優先順位を整理します。
私が最初に考えるのは「どこで止まっているのか」

私がアクセス解析をするとき、いきなりGA4を開いて数字を眺め始めるわけではありません。
まず考えるのは、
「この会社のWeb集客は、どこで止まっているのか」
ということです。
Webサイトから問い合わせが増えないといっても、原因は一つではありません。
例えば、
検索結果にそもそも表示されていないのかもしれません。
検索結果には表示されているものの、クリックされていないのかもしれません。
サイトにはアクセスされているものの、サービスページまで読まれていない可能性もあります。
サービスには興味を持ってもらえているものの、最後の問い合わせで離脱しているケースもあります。
どこで止まっているかによって、行うべき施策はまったく変わります。
そのため、私はアクセス解析を「悪い数字を探す作業」ではなく、「成果を止めているボトルネックを探す作業」だと考えています。
データを見る前に、まずお客様の状況を聞く
ボトルネックを探すためには、アクセス解析ツールだけを見ても十分ではありません。
まず、
- どのようなサービスを提供しているのか
- どんな企業・顧客から問い合わせを増やしたいのか
- Webサイトで何を実現したいのか
- 現在どのくらい問い合わせがあるのか
- どこから案件が発生しているのか
- これまでどのようなWeb施策を行ってきたのか
- 今、経営者や担当者自身は何を課題だと感じているのか
といったことをヒアリングします。
例えば、問い合わせを増やしたい会社と、まずサービスの認知を広げたい会社では、見るべき数字も変わります。
また、単価が数千円の商品と、数十万円・数百万円のBtoBサービスでも、ユーザーが問い合わせに至るまでの流れは違います。
事業のことを知らないまま数字だけを見ても、その数字が本当に良いのか悪いのかは判断できません。
- まず事業と現状を理解する。
- その上でデータを見る。
私はこの順番を大切にしています。
実際のWeb支援では「アクセス不足」が問題ではなかった
実際に支援したBtoB企業でも、最初にGA4やGoogle Search Consoleを確認したところ、興味深い状態になっていました。
自然検索からの流入は、以前の期間と比較して大きく増加していました。
Google Search Console上でも検索結果での表示回数やクリック数が伸び、GA4でもOrganic Searchからのセッションが増えていました。
SEOだけを評価するのであれば、
「自然検索は順調に伸びています」
と言っていい状態です。
そして、このデータだけを見ると、
「このままSEO記事を増やして、さらにアクセスを伸ばしましょう」
という提案も考えられます。
しかし、もう少し先までデータを見てみると、別の課題が見えてきました。
サイトへの入口の多くはコラム記事でした。
ところが、コラム記事を読んだあとにサービスページへ移動するユーザーはそれほど多くありません。
さらに、サービスページから問い合わせまで進むユーザーも少ない状態でした。
つまり、
「人が来ていない」のではなく、「来てくれた人を次の行動につなげられていない」
可能性が高かったのです。
この場合、さらにアクセスを増やすことだけを優先しても、問い合わせが比例して増えるとは限りません。
すでに獲得できているアクセスを、どうやってサービスへの理解や問い合わせにつなげるのか。
こちらの方が優先度の高い課題ではないかと考えました。
数字の先にある「なぜその行動をしないのか」まで考える
ただし、
「コラムから問い合わせに進んでいない」
というデータだけを見ても、施策はまだ決まりません。
なぜ問い合わせないのかを考える必要があります。
例えば、この企業では技術的なノウハウを解説するコラムが多く、検索から多くのユーザーが訪れていました。
そこで、検索している人の状況を考えてみました。
何か業務上の課題があり、まずは自分で解決方法を調べようとして検索する。
そこで技術記事を見つけて読む。
必要な情報は得られた。
その直後に、
「無料相談はこちら」
というボタンが出てきたとして、すぐに相談するでしょうか。
もちろん相談する人もいます。
ただ、多くの人にとっては少しハードルが高いのではないか、と考えました。
まだサービス内容を十分に理解しているわけでもなく、その会社へ相談するだけの理由もまだありません。
それにもかかわらず、
「記事を読む」から「問い合わせる」までを一気に求めている。
ここにユーザーの温度感とのズレがあるのではないか、という仮説を立てました。
アクセス解析では、このようにデータから分かる事実と、そこから考えられる仮説を分けることも重要だと思っています。
数字が答えを教えてくれるわけではありません。
数字はあくまで、何が起きているのかを考えるための材料です。
そこで提案したのは「もっとアクセスを増やすこと」ではなかった
この分析をもとに、いくつかの改善案を提案しました。
問い合わせの前に「中間地点」を作る

まず考えたのが、記事からいきなり無料相談へ誘導するのではなく、その間にもう一段階の接点を作ることです。
例えば、
- チェックリスト
- お役立ち資料
- 導入事例集
- 要件整理シート
- 費用や選び方が分かる資料
などです。
記事を読んで、
「もう少し詳しく知りたい」
と思った人が、まず資料をダウンロードする。
その資料を通じてサービスや会社について知ってもらい、その後に相談を検討してもらう。
つまり、
コラム記事 → 資料ダウンロード → サービスへの理解 → 問い合わせ
という流れです。
Webサイトでは、すべてのユーザーが今すぐ問い合わせたいわけではありません。
そのため、ユーザーの検討段階に合わせた複数の入口を作ることが重要だと考えています。
「記事を増やす」ではなく「どんな人を集めるか」を変える
もう一つ見直したのが、今後作るコラム記事の方向性です。
既存の記事には、ツールの使い方や技術的な解説など、情報収集を目的としたユーザー向けの記事が多くありました。
こうした記事は検索流入を増やす上では意味があります。
一方で、
「自分で解決方法を調べたい人」
と、
「外部の会社へ相談したい人」
では検索するキーワードが異なります。
そこで、
- 導入するかどうかを検討している人
- 現在のシステムを改善したい人
- 社内だけでは対応できず外注を検討している人
- 開発や支援にかかる費用を知りたい人
- 支援会社を比較している人
など、もう少し相談に近いユーザーが検索するテーマも増やした方がよいと考えました。
ここでも、
「SEO記事をもっと作りましょう」
ではなく、
「誰をWebサイトに連れてきたいのか」
からコンテンツを考えることが重要です。
月間検索数が多いキーワードだからといって、そのアクセスが自社の売上につながるとは限りません。
検索数が多少少なくても、自社のサービスを必要としている人が検索するキーワードであれば、そちらを優先した方がよい場合もあります。
CTAやサービスページも分析対象にする
アクセス解析という言葉から、GA4やGoogle Search Consoleの管理画面だけを見る仕事をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、実際の改善ではWebサイトそのものも見ます。
例えば、
- 記事を読んだあとにどのCTAが表示されているのか。
- CTAの文言はユーザーにとって分かりやすいか。
- サービスページを読んだときに、自分が対象となるサービスだと理解できるか。
- 料金や支援内容について、問い合わせ前に知りたい情報が足りているか。
- 事例を読んだあとに、次の行動へ進めるようになっているか。
こうした部分まで見なければ、本当のボトルネックは見つからないことがあります。
GA4やSearch Consoleだけを見ても、Webサイトの課題は分からない
私がアクセス解析をするときは、GA4とGoogle Search Consoleだけで判断することはほとんどありません。
案件によって異なりますが、
- GA4
- Google Search Console
- 実際のWebサイト
- Googleの検索結果
- 競合サイト
- キーワードデータ
- 広告データ
- ヒートマップ
- 問い合わせ実績
などを組み合わせて確認します。
ただし、たくさんのツールを使うこと自体に価値があるわけではありません。
大切なのは、
「今考えている仮説を確かめるには、何を見ればいいのか」
です。
例えば、
「サービスページまで来ているのに問い合わせが少ない」
のであれば、ヒートマップを使ってページがどこまで読まれているか、CTAがクリックされているかを確認することがあります。
一方で、検索流入そのものが少ないのであれば、Google Search Consoleや検索結果、競合サイトなどを見る方が重要です。
すべての数字を見る必要はありません。
課題によって見るべきデータは変わります。
アクセス解析レポートには「優先順位」も必要だと思う
アクセス解析をすると、改善できそうなポイントはたくさん見つかります。
- SEO記事を増やす
- 既存記事をリライトする
- CTAを変更する
- サービスページを改善する
- 事例を追加する
- 資料を作る
- 広告を改善する
Webサイトには、やろうと思えばいくらでも施策があります。
しかし、人も予算も時間も無限ではありません。
特に中小企業の場合、すべてを同時に実行することは現実的ではないことが多いです。
そのため私は、アクセス解析レポートでは課題を並べるだけでなく、
「まず何をするか」
まで決めることが重要だと考えています。
今回のケースであれば、自然検索からのアクセスはすでに大きく伸びていました。
そのため、さらに記事数を増やすことだけを最優先にするよりも、
- まず既存の記事からサービスへの導線を整える。
- 問い合わせ前に資料ダウンロードなどの中間地点を作る。
- サービスページの訴求やCTAを改善する。
- その上で、今後作る記事のテーマを見直す。
という順番を提案しました。
アクセス解析をした結果、
「あれもやった方がいい、これもやった方がいい」
だけでは、結局何も進まなくなります。
やることだけでなく、今はやらないことまで決める。
そこまで整理して初めて、実際のWeb改善につながると思っています。
アクセス解析を外部へ依頼するときに確認したいこと
自社だけではアクセス解析が難しく、外部のWebコンサルタントやWeb制作会社などへ依頼する場合もあると思います。
その際は、レポートの項目数やページ数だけではなく、
「分析したあとに、どこまで提案してもらえるのか」
を確認しておくことをおすすめします。
例えば、
- GA4やSearch Consoleの数字をまとめるだけなのか
- 現状の課題まで整理してもらえるのか
- なぜその状態になっているのか仮説まで考えてもらえるのか
- 具体的な改善施策まで提案してもらえるのか
- 施策に優先順位をつけてもらえるのか
- コンテンツやCTA、サービスページなど具体的な改善まで相談できるのか
- 必要であれば施策の実行まで支援してもらえるのか
といった部分です。
数字だけを知りたいのであれば、数値をまとめたアクセス解析レポートでも十分かもしれません。
しかし、
「Webから問い合わせを増やしたい」
「今のWebサイトの何が問題なのか分からない」
「次にどこへ予算や時間を使うべきか判断したい」
という場合は、数字の報告だけでは足りません。
事業の状況も理解した上で、次の施策へつなげられるかどうかが重要です。
まとめ|アクセス解析で知りたいのは「数字」ではなく「次に何をするか」
アクセス解析では、GA4やGoogle Search Consoleを使ってさまざまな数字を確認します。
もちろん、それらの数字を正しく読むことは必要です。
ただ、私はアクセス解析で最も重要なのは、数字そのものではないと考えています。
- まずお客様の事業や現状を聞く。
- 成果までのどこで止まっているのかを考える。
- データを使って仮説を検証する。
- 原因を考える。
- 改善施策へ落とし込む。
- そして、何から実行するのか優先順位を決める。
ヒアリング → ボトルネックの仮説 → データで検証 → 課題整理 → 改善施策 → 優先順位
ここまで一つにつながって、初めてアクセス解析がWebサイトの改善に使えるようになります。
アクセス解析レポートを見たあとに、
「なるほど、こういう数字なんですね」
で終わるのではなく、
「では、まずこれをやろう」
と意思決定できる状態にする。
それが、アクセス解析レポートの役割だと私は考えています。
\ Web集客の優先順位を整理したい企業様へ /
Web集客、次に何を改善するか整理しませんか?
Webサイト・SEO・広告・アクセス解析を横断して確認し、
成果を妨げている課題と改善の優先順位を整理します。






