AIに相談して月額30万円のサービスを作って失敗した話

公開日: 2026年9月14日
「自分がお客様だったら、このサービスに月30万円を払うだろうか?」
そう考えたとき、私の答えは「払わない」でした。
自分で作ったサービスなのに、です。
しかも、思いつきで作ったサービスではありません。
「会社をもっと成長させ、年商1億円を目指す。」
そのためにどんなサービスを作るべきか、自分でも考えながら、AIとも何ヶ月にもわたって何度も壁打ちをしました。
サービス内容、価格、売り方、将来の組織体制まで考え、何度もブラッシュアップした末に作ったのが、月額30万円ほどのWebマーケティング支援サービスでした。
ロジックはかなりきれいでした。Web戦略からサイト改善、SEO、広告まで包括的に支援する。
単発の制作案件を増やすより、継続的に企業のWebマーケティングを支援する方が売上も安定する。
業界の相場を考えても、月額30万円は特別高い金額ではありません。
それでも、実際にお客様へ提案してみると、自信を持って「このサービスは月30万円です」と言えませんでした。
なぜなのか。
振り返ってみると、私はAIに相談する中で、いつの間にか「論理的に正しいサービス」を作ることに夢中になり、自分自身が本当に良いと思えるサービスなのかを置き去りにしていました。
年商1億円を目指して、サービスを作り直そうと考えた
きっかけは、個人事業から法人になり、会社をもっと成長させたいと考えたことでした。
まず目標として考えたのが、年商1億円です。
もちろん、売上だけが会社経営の目的ではありません。
ただ、会社として事業を成長させ、人を雇ったり、新しい事業に投資したりすることを考えると、一つの目標として年商1億円を目指してみようと考えました。
そこで、
「今のWeb事業をどうすればもっと伸ばせるのか」
ということを、自分で考えながらAIにもかなり相談しました。
それまでのようにWebサイト制作などの単発案件を受注するだけでは、売上はなかなか積み上がりません。
であれば、
- 単価を上げる
- 継続契約を増やす
- 制作だけでなくWebマーケティング全体を支援する
- 自分だけですべてを担当せず、将来的にはチームで支援する
といった形に変えていった方がいい。
これは経営戦略として考えれば、かなり自然な話です。
実際、当時作っていた計画でも、Web制作、SEO、広告、改善などをまとめた高単価の継続支援を主力にしていく方向で考えていました。
そして、その中で作ったのが月額30万円前後のWebマーケティング支援サービスでした。
AIと考えた月額30万円のサービスは、ロジックとしては悪くなかった

サービスの内容は、簡単に言えば企業のWebマーケティングを包括的に支援するものです。
Web戦略の設計から、ホームページの改善、SEO、広告、アクセス解析、導線改善などをまとめて支援する。
単にアドバイスをするだけではなく、Web全体を見ながら継続的に改善していくサービスです。
当時は「外部Web責任者」というようなサービス名にしていました。
(このサービス名もAIと相談しながら考えたものなのですが、今振り返ると、この名前もけっこうイマイチだったと思います 笑)
ただ、当時は「社内にWeb担当者がいない中小企業に対して、外部からWeb責任者のように支援する」という説明は分かりやすいと思っていました。
料金を月額30万円前後にしたことについても、適当に決めたわけではありません。
WebコンサルティングやWebマーケティング支援の業界を考えれば、月額30万円という金額自体が特別高いわけではありません。
私自身もこれまでWeb制作だけではなく、SEO、広告運用、サイト改善など、さまざまな企業のWeb支援に携わってきました。
提供できる支援内容を考えても、「30万円をもらえるだけのことは何もできない」と考えていたわけではありません。
むしろ、
「この内容なら、このくらいの金額でもおかしくない」
と思っていました。
高単価の継続契約を増やし、チームで支援できる体制を作る。
会社の売上も安定し、自分自身も戦略や意思決定など、より重要な仕事に集中する。
ロジックだけを見れば、かなりきれいです。
AIと何度も壁打ちをするたびに、そのロジックはさらに整理されていきました。
問題は、その先でした。
お客様に提案したとき、自信を持って30万円と言えなかった
実際に、お客様との相談の中でこのサービスをご提案する機会が何度かありました。
そこで、自分の中にあった違和感がはっきりしました。
サービスの内容は説明できます。
「なぜWeb戦略が必要なのか」
「なぜSEOだけ、広告だけではなく、Web全体を見る必要があるのか」
「なぜ継続的な改善が必要なのか」
そういったことも説明できます。
ところが、「このサービスは月額30万円です」と伝える段階になると、自分の言葉が急に自信がなくなる感覚がありました。
「なぜ30万円なのか」と聞かれたときに、自分自身が心から納得できる答えを返せなかったんです。
30万円という金額が高すぎると思っていたわけではありません。
サービス内容が悪いと思っていたわけでもありません。
それでも、自分の中で何かが引っかかっていました。
そこで、一度ものすごく単純なことを考えてみました。
「自分がお客様だったら、このサービスを買うか?」

自分がお客様の立場だったら、このサービスを契約するだろうか。
そう考えてみました。
答えは「買わない」でした。
これは、自分でもかなり大きな気づきでした。
- 毎月30万円を払う
- Webサイトを改善してもらえる
- SEOも見てもらえる
- 広告についても考えてもらえる
- Web戦略も一緒に考えてもらえる
もちろん、やることはたくさんあります。
ただ、その結果として売上がどのくらい増えるのかは分かりません。
Webマーケティングなので、当然ながら絶対に成果が出るという保証もありません。
その状態で、
「毎月30万円払ってください」
と言われたときに、自分がお客様だったら契約するだろうか。
私はYESと言えませんでした。
そこで初めて、
「自分自身が買いたいと思っていないサービスを、お客様に売ろうとしている」
ということに気づきました。
月額30万円の価値がないのではなく、自分がその価値を信じ切れていなかった
ここは少し誤解されやすいところですが、月額30万円のWebマーケティング支援そのものを否定しているわけではありません。
会社によっては、十分に価値があります。
例えば、
- 社内にWebマーケティングを統括できる人がいない
- 制作会社、広告会社、SEO会社がバラバラに動いている
- Web全体の戦略や予算配分を考える人がいない
- Web担当者を採用する代わりに外部へ任せたい
といった企業であれば、包括的な支援が必要になることもあります。
実際、現在も弊社ではこうした支援を「Web推進室」として提供しています。
私が失敗だったと思っているのは、こうしたサービスを作ったこと自体ではありません。
これを「会社を成長させるための主力商品」として、売上目標から逆算して作ったことです。
売上目標から逆算したら、自分が売りたいサービスではなくなっていた
今振り返ると、当時のサービス設計はかなり売上から逆算していました。
年商1億円を目指す。
- そのためには月商がいくら必要なのか。
- 一社あたりの単価はいくら必要なのか。
- 何社契約すればいいのか。
売上を安定させるためには、単発ではなく継続契約にした方がいい。
そう考えていくと、
「高単価の月額サービスを作る」
という結論はとても合理的です。
数字として考えれば間違っていません。
ただ、いつの間にか順番が逆になっていました。
本来は、
「どんなサービスならお客様に本当に価値を提供できるのか」
「自分自身が本当に良いと思えるサービスは何なのか」
「自分がお客様だったとしても、お金を払いたいと思えるか」
ということをもっと先に考えるべきでした。
ところが当時は、
「年商1億円にするには、このくらいの単価の商品が必要だ」
という考えからサービスを作っていました。
AIも、その前提に沿って、とてもきれいな答えを返してくれます。
「1億円を目指したい。そのためにどうすればいい?」
と聞けば、AIは年商1億円を達成するための方法を考えてくれます。
高単価化、継続契約、組織化、AI活用。
どれも間違いではありません。
でも、
「そもそも自分はこのサービスを本当に売りたいのか」という感覚までは、AIには分かりません。
そこで、主力サービスを成果報酬型に変えた
では、どんなサービスなら自分がお客様でも契約したいと思えるのか。
改めて考えました。
その結果作ったのが、現在の成果報酬型のWeb集客支援「Webコミット」です。
考え方はシンプルです。
成果が出るかどうか分からない状態で、お客様だけが大きな固定費を負担することに自分が違和感を持つのであれば、こちらもリスクを負えばいい。
成果が出なければ、弊社の報酬も増えない。
成果が出れば、お客様の売上が増え、弊社の報酬も増える。
そういう形にしました。
もちろん、成果報酬型だから必ずうまくいくという話ではありません。
むしろ、成果を出せなければ自分たちの売上も増えないので、提供する側にとっては簡単なサービスではありません。
ただ、少なくとも私はこの仕組みを見たときに、
「自分がお客様だったら、このサービスは契約を検討したい」
と思えました。
そこが以前との大きな違いでした。
自分が利用する側でも欲しいと思える。
だから、お客様にも以前より自信を持って提案できます。
成果を出さなければ自分たちの報酬も増えないので、こちらも本気で結果を追う必要があります。
今の自分には、この形の方がしっくりきています。
AIが間違えたのではなく、AIに判断まで任せてしまった

今回の経験を振り返っても、私はAIが悪かったとは思っていません。
今でもAIは毎日のように使っています。
経営について相談することもあれば、サービスについて壁打ちすることもありますし、新しいアイデアを考えるときにも使います。
自分一人では気づかなかった視点を出してくれることも多く、仕事をする上で欠かせないツールになっています。
ただ、以前とは少し使い方が変わりました。
AIは、筋の通った答えを作るのがとても得意です。
目標を伝えれば、そこにたどり着くための道筋を整理してくれます。
売上目標から必要な単価を計算し、サービス設計を考え、組織まで含めた計画を作ることもできます。
そして、その答えはかなり説得力があります。
だからこそ注意しなければならないとも感じています。
論理的に正しいことと、自分が納得できることは同じではありません。
AIがどれだけ、
「このサービスには市場性があります」
「この価格でも問題ありません」
「このモデルなら売上を伸ばせます」
と言ったとしても、
「自分は本当にこれをやりたいのか」
「お客様に心から勧められるのか」
「自分がお客様だったとしても買いたいと思えるのか」
という問いに答えるのは、自分自身です。
サービスを作るとき、最後に決めるのは自分しかいない
月額30万円のサービスを主力商品として作ったことは、今振り返れば失敗だったと思っています。
何ヶ月もAIと相談しまし、何度もサービスをブラッシュアップしました。
それでも失敗しました。
ただ、その経験があったからこそ、サービスを作るときに自分が何を大切にしたいのかは、以前より明確になりました。
AIはとても優秀な壁打ち相手です。これからも使い続けると思います。
ただ、AIに答えを決めてもらうのではなく、自分の考えを深めたり、自分の仮説を疑ったりするために使う。
そして最後は、
「自分は本当にこれでいいと思っているのか」と自分に問い直す。
どれだけAIが進化しても、この判断だけは経営者自身がしなければならないのだと思います。






